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自由シリア軍 (FSA) による対戦車ミサイルの直撃に耐えた「T-90A」戦車

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Defense Updateはアメリカ合衆国で開発された対戦車ミサイルTOW(トウ)で攻撃されたシリア政府軍T-90についての記事を掲載した。

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まず初めに各メディアではTOW対戦車ミサイルの直撃を受けた戦車をT-90と紹介しているが、本来はT-90Aのことであることに留意する必要がある。

T-90AはT-90の改良型モデルである。改良点としては「ウラジーミル砲塔」と呼ばれる角ばった外観の溶接式の砲塔を装備、この溶接砲塔には新型の複合装甲が封入されており防御力が向上し、車体前面の装甲も20mm増圧されている。射撃換装装置や観測装置も新型となり、赤外線カメラを装備することで夜間捜索・照準能力が大幅に改善されている。
主砲は55口径125 mm滑腔砲2A46M-5、エンジンはV-92S2(1,000馬力)エンジンを装備している。また電子光学式アクティブ防護システム「シュトーラ (SHTORA) 」を装備し、飛来する対戦車ミサイルのレーザーが行う目標の照準と測距を混乱させることで、被弾を回避することが可能である。

このように従来のT-90から大幅に防御力・攻撃力・機動力を向上されていることが特徴である。現在でもロシア連邦軍の主力戦車として位置付けられている。

ロシア連邦軍の主力戦車であるT-90Aを内戦が継続中のシリアにおいて、当初は自軍の基地として活用しているフメイミム空軍基地用の警護用として持ち込んでいることが11月頃にロシア空挺軍アンサンブル「ゴルブィエ・ベレーティ」の慰問コンサートがSNSにアップロードされた際に発覚し、大きな話題となった。

当初はロシア連邦軍の基地警護用としてだけ運用されるのかと思えば、公然とシリア政府軍に供与していることがシリア政府軍側の報道やYouTube上で明らかになった。シリア政府軍としては長年の内戦により主力戦車であるT-72系列が枯渇したことから、この供与は渡りに船だったのではないだろうか。

またT-90AはT-72シリーズの発展モデルであり、操縦は良く似ていることも幸いし、すぐさま戦力化できたのも大きいだろう。

なおロシア側は-90Aをシリア軍に「多数」供与したと認めてはいるが、一体何輌のT-90Aが供与されたのか不明である。またシリア政府軍側の報道では、T-90Aの完熟訓練はロシア戦車兵から教わったとしていることから、シリアの戦場で操縦しているのはシリア政府軍兵士である可能性が高いしかし東部ウクライナの事例もあることから、ロシア戦車兵がT-90Aを運用している可能性も否定できないところはある。
シリア政府軍にて運用されるT-90A

今回撮影された動画では、T-90Aは有線誘導式である TOW 対戦車ミサイルにより電子光学式アクティブ防護システム「シュトーラ 」が作動しなかったものと推測される。シュトーラはあくまでも照準レーザーを検知してから作動するものであり、有線では検知できないためである。

映像は不鮮明ながらも直撃を受けた箇所は、最も装甲が厚い砲塔前面の模様。直撃を受けたが大規模な火災は発生せず、乗員が車輌を放棄し脱出するシーンも映し出されている。


Capture screen: UralVagonZavod website
この映像を見たT-90Aの製造元のウラルワゴンザウォード副社長は、「映像が不鮮明であり正確なコメントは出来ないが、砲塔側面に被弾したがコンタークト-5爆発反応装甲が作動して破壊を免れた」との見方を示している。被弾に弱いと言われ続けてきたロシア製戦車が、対戦車ミサイルにも耐えたことを実戦で証明したある意味で貴重な動画ではある。

Defense Update 2016/02/27
Text: WT83 - FM201603

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