平成21年度 日米共同訓練~市街地戦闘(MOUT)編~
陸上自衛隊と米陸軍の部隊が、「それぞれの指揮系統に従い」共同して作戦を実施する「日米共同訓練」が滋賀県 あいば野演習場で行われました。
日米共同による実動訓練の状況としては、1981年(昭和56年)に始まり、今年で29年目を迎えます。今回取材協力を頂いた第3師団においては、4回目の実動訓練。
取材当日は午前7:25に最寄のJR近江今津駅でピックアップという、早朝からの活動開始。始発電車で向かうにも間に合わない事が予想され、前日深夜から車で大阪を出発しての取材となりました。
当日の簡単な模様は既に全国ネットで放送される各局テレビのNewsや、新聞各紙でも取り上げられているので、今回の開催自体をご存知の方も多い事でしょう。テレビや新聞といったマスメディアでは報道されなかった詳細の模様、またそれらとは違った独自の切り口で当日の模様を詳細にお届けしたいと思います。
こちらが舞台となった、あいば野演習場。場内には昨今の戦闘で最も想定される「市街地訓練場」が常設されています。この「市街地訓練場」の風景はミリタリー専門誌でも何度か誌面上で取り上げられている為、見覚えのある方も多くいる事でしょう。
各建物は日常生活でお馴染みのレストランやコンビニを模したコンクリートの建物とし、より実戦的な訓練を行えるよう工夫されています。
今回の3回に分けての掲載予定は、計10日間に渡って実施される中で、10月11日(日)に行われた機能別訓練における「市街地戦闘訓練」および「ヘリボン訓練」を各1回写真とテキストをメインとし、最終回となる第3回目の投稿でそれらの映像をお届けするといった大別した内容を予定しています。
日米双方における訓練実施部隊としては以下の通り。
【日本側】
■陸上自衛隊 第3師団
第7普通科連隊基幹(京都府福知山市)、人員 約680名
【米国側】
■米陸軍 第42歩兵師団
第1-69歩兵大隊基幹(ニューヨーク州兵)、人員 約200名
第1-69歩兵歩兵大隊の参戦歴史は古く、南北戦争からの参戦経験をもち、最近の参戦としてはOIF(Operation Iraqi Freedam:イラク自由作戦 2004.10-2005.9)や、OEF(Operation Enduring Freedom:不屈の自由作戦 2008.2-2009.1)での参戦も経験しています。
もちろん、戦時での参加だけでなく災害派遣でも活躍をし、記憶に新しい同時多発テロの際には被災地「グラウンドゼロ」における被災者支援への参加も行われました。
また、日本ではあまり聞き慣れない「州兵」とは、予備役の一部で戦闘部隊。平時においては州知事、有事においては連邦政府がその指揮権を保有します。
全身ACUを身に纏う米陸軍側の兵士。こちらの隊員は皆インターセプター・ボディーアーマーを着用しています。どの隊員も皆、気さくにカメラ撮影に応えてくれます。
向かって一番の写真では、ハンビーの展示中に3人の米陸軍隊員を背部から撮影。いずれの隊員もCAMELBAK製のハイドレーションを背負っており、一番左と中央の隊員が同モデルの新旧バージョン違いとなっています。
左端の隊員のみ他の隊員と違い、OakleyのAssault Bootsを履いている点も興味深いところです。
左から2番目の写真では、官給のM4にM203グレネードが搭載されています。光学機器はAimpoint M2 Compとなっており、この日出合った隊員の携行する小銃火器におけるAimpoint使用率の高さが際立っていました。(ざっと見たところ、ELCANの使用は確認できるものの、メジャーなEOTechやTrijicon ACOGを搭載しているものが見当たりませんでした)
左から3番目のESS ICEを着用したこちらの隊員は、光学機器を何も搭載していないというシンプルな構成のM4A1を携行しています。州兵という事もあってか、このような素(す)の状態に近いM4を携行する隊員が多かったのも大変印象的です。
最後に右端の隊員も先程の隊員と同様にシンプルなM4を携行しています。
彼ら米兵が携行するM4を手に持たせて頂ける機会がありましたが、実際に手に持った感想としては非常に軽い。記念式典などで経験をお持ちの方だとお分かり頂けるかと思いますが、89式や64式小銃と比較するとその軽さは想像以上に軽く感じる事と思います。
この日最も多く見掛けたシンプルな状態のM4。こちらはレール、レールカバー、フォアグリップともにKnight's Armamento Co,.のものが、リアサイトは官給品のMatech社のBUISが取り付けられている事が分かります。
向かって左側の写真は、HMMWV(ハンビー)の銃座でテレスコタイプ(伸縮式)のストックが取り付けられたMINIMIを構える米陸軍の隊員が写っています。搭載されている光学機器はAimpoint Comp M4S。従来のComp M4と外観上の大きな差異としてはAAバッテリー(単三電池)を格納するスイッチ部がアイリリーフ側から見て右上だったものが右下に移動させた事により、サイティング時に視界を遮らない様に配慮された造りになったと言われています。
右側の写真も同様にMINIMIを携行する隊員。こちらのMINIMIにはAimpoint Comp M4が搭載されています。
上記いずれの隊員も左腕のベルクロには、ニューヨーク州兵を意味する「NY」をモチーフとしたパッチが貼られています。
今回投稿する多くの写真には、この隊員のように左腕に「NY」パッチが貼られています。これは、左腕に貼られるパッチが現在所属の部隊、右腕に貼るパッチが前所属の部隊等を意味するパッチを貼る規則性に則っている為となります。
そうした観点で写真中の個々の米軍隊員を見てみると、第101空挺師団や第一騎兵師団といった日本でもメディア露出の高いパッチを右腕に貼付している隊員も居り、大変興味深い考察になると思います。
市街地戦闘訓練を前に、ブリーフィング中の米軍兵。
第69歩兵連隊第1大隊はアイルランド系アメリカ人で構成されたアイルランド旅団内の連隊から統を継承。
(※現在はアイルランド系アメリカ人の兵士は多くない)
ブリーフィング中の1人の米軍兵が携行するM4に着目すると、搭載しているAimpoint Comp M2とそのマウントがTANに塗装されていることが分かります。
ブリーフィングの脇で各隊員が装備を確認している1コマ。その中で「National Guard」と書かれた見慣れないACUのバックパックが確認できます。これは「Army National Guard」で官給品として支給されているものではないかと思われます。
イラクでの実戦経験を持つこちらの隊員。戦場を共に過ごしたヘルメットを見せてくれました。ヘルメットには第1-69歩兵大隊の部隊章が縫い付けられています。
この部隊章は、1861年の帽章を継承しており、アイルランドの狼猟用猟犬二匹と、南北戦争時のポトマック軍第2軍団第1師団が使用した事に由来するレッド・クローバー、そして中央には第1次世界大戦時、第42レインボー師団隷下の連隊だったことに由来した虹が横断するデザインとなっています。
取材陣にも振舞われたカラフルなおやつ。一見するとチョコレートに見えますがグミのように柔らかく、甘味のみが強調された、いかにもアメリカらしい味わい。お世辞にも美味しくはありません。そして色粉が多量に使われている為、食べた直後は舌の表面も同様にカラフルになります。
展示されていたHMMWV。右端、3枚目の写真ではHMMWVの後方に備え付けの牽引管にスリングベルトが取り付けられています。
こちらがHMMWVの内部。2枚目(左)の写真にあるように、エンジンスターターはスイッチを右に回すだけで掛かります。エンジンが動き出すと小指の先にあるランプが点灯します。
陸上自衛隊側のブリーフィングの様子。第7普通科連隊の隊員がこれから行われる訓練内容について耳を傾けています。
各隊員が使用するゴーグルはSWAN製のもの。元々はウィンタースポーツ用に開発されたゴーグルであったが、陸上自衛隊での採用を機に、ANSIを通過。
ANSIとは「American Nationel Standards Institute」の頭文字をとった略称で、アメリカ国家規格協会が定める工業規格。
各隊員が携行する火器は、もちろん89式小銃。右側の写真では、射撃時にカートリッジが飛び散らないように工夫されています。
後述にある戦闘訓練の模様をご覧頂ければお分かり頂けるかと思いますが、一発必中を基本として射撃を行う自衛隊員に対して、ばら撒き傾向の高い米軍兵とでは、その置かれている背景や弾薬の消費に対する考え方が異なり、こうした工夫がなされているであろうとも推測できます。また、地面に散らばる事を防げる為、踏みつけた事により足を滑らす事が防げる点や、落下時の音を防げる点などといったメリットも考えられます。
隊員らの手前にある白い台の上に展示されている89式小銃に着目してみましょう。こちらはストック、グリップがOD、アウターバレルが紫色になった電動エアソフトの89式小銃。
それではお待ちかねの市街地戦闘訓練の模様。
建物の奥より1輌目の74式戦車が侵入。戦車を盾にし、スタッグを組んだ普戦チームが続きます。
訓練用装置が取り付けられた74式戦車。被弾を感知すると、M2を構える射撃手の背部にあるランプが点灯する仕掛け。
普戦チームは左横にある土手へと展開し、進行方向にある建物内部の敵と交戦を行います。
2輌目の74式戦車と普戦チームが続いて侵入します。交戦中の1輌目の戦車を追い抜き、進行します。
写真中に黄色の靄(もや)が掛かっているのは、スモークグレネードによるもの。
建物へ到着したチーム。チームはこれから建物への突入を行います。
建物内部をチーム員と共に警戒し、打ち破られた窓から素早く突入する隊員。窓の外からは仲間の隊員がバックアップを行っています。
続いて突入した隊員。射手の利き腕の如何に関わらず、状況に応じてスイッチしている様子が確認できます。
各隊員の89式小銃の先端には閉所訓練用のブランクアダプターが装着されている事が分かります。これにより発射音が軽減されています。
後に実施された米軍側の突入と比べて、自衛隊側の動きがしなやか且つ、迅速な様子は後日掲載予定の映像を見比べて頂くと一目瞭然。無駄が無く、まるで水が部屋の中に流れ込むような動きです。
2人1組で死角をカバーしながら部屋の中を進む隊員。
扉の向こう側を警戒しつつ、小部屋への突入を行う隊員。
2段目の写真では扉の向こうへ突入する事前にフラッシュパン(ダミー)のようなものを放り込む姿が確認できます。
蹴破ったドアから突入する別の隊員たち。静寂の中で緊迫した一列の隊が一気に流れ込みます。
続いて行われた米軍側の戦闘訓練。
写真赤枠内に2手に分かれて潜む米軍兵が確認できます。
笛の合図と共にスタッグで建物へと近付きます。前方の全方向へ警戒を行い、死角を作らないようしている様子がうかがえます。
スモークグレネードの投擲により、周辺の視界が悪くなっている様子が分かります。
最初のチームが建物へ到着。建物へ到着後、チームの陣形が展開していく様子が確認できます。
後続のチームが到着すると、いよいよ建物内部への突入に移ります。
先に行われた陸上自衛隊の隊員を「柔」と称するならば、米軍側の突入は「剛」。パワフルな突入模様となりました。
1人目の突入後、間髪入れず次々と後続の隊員が突入し、閉所内での数的優位を形成していきます。
カバー中の隊員における発砲も絶え間無く続き、弾幕でラインを押し上げるようなイメージ。弾薬の使用が豊富な米軍ならではといったところでしょうか。
米軍兵の一言、「一発の弾薬を惜しむ事と、命を守る事、どちらが大事だ?」・・・うーん、大変印象的です。
以上、大量の写真と長文で「日米共同訓練」の「市街地戦闘編」をお届け致しました。
今回の取材実施に当たっては、インターネットメディア、とりわけミリタリー専門ポータルという位置づけによる取材申し込みは前例が無い中で、取材許可の稟議を回して頂き、最終的に許可を頂ける事となりました。
陸上自衛隊 第3師団司令部広報室関係者様並びに、当日にプレス対応を頂きました皆様には、この場をお借りし、御礼申し上げます。ありがとうございました。
なお、次回はヘリボン訓練編を掲載致します。お楽しみにお待ち下さい。
日米共同による実動訓練の状況としては、1981年(昭和56年)に始まり、今年で29年目を迎えます。今回取材協力を頂いた第3師団においては、4回目の実動訓練。
取材当日は午前7:25に最寄のJR近江今津駅でピックアップという、早朝からの活動開始。始発電車で向かうにも間に合わない事が予想され、前日深夜から車で大阪を出発しての取材となりました。
当日の簡単な模様は既に全国ネットで放送される各局テレビのNewsや、新聞各紙でも取り上げられているので、今回の開催自体をご存知の方も多い事でしょう。テレビや新聞といったマスメディアでは報道されなかった詳細の模様、またそれらとは違った独自の切り口で当日の模様を詳細にお届けしたいと思います。
こちらが舞台となった、あいば野演習場。場内には昨今の戦闘で最も想定される「市街地訓練場」が常設されています。この「市街地訓練場」の風景はミリタリー専門誌でも何度か誌面上で取り上げられている為、見覚えのある方も多くいる事でしょう。
各建物は日常生活でお馴染みのレストランやコンビニを模したコンクリートの建物とし、より実戦的な訓練を行えるよう工夫されています。
今回の3回に分けての掲載予定は、計10日間に渡って実施される中で、10月11日(日)に行われた機能別訓練における「市街地戦闘訓練」および「ヘリボン訓練」を各1回写真とテキストをメインとし、最終回となる第3回目の投稿でそれらの映像をお届けするといった大別した内容を予定しています。
日米双方における訓練実施部隊としては以下の通り。
【日本側】
■陸上自衛隊 第3師団
第7普通科連隊基幹(京都府福知山市)、人員 約680名
【米国側】
■米陸軍 第42歩兵師団
第1-69歩兵大隊基幹(ニューヨーク州兵)、人員 約200名
第1-69歩兵歩兵大隊の参戦歴史は古く、南北戦争からの参戦経験をもち、最近の参戦としてはOIF(Operation Iraqi Freedam:イラク自由作戦 2004.10-2005.9)や、OEF(Operation Enduring Freedom:不屈の自由作戦 2008.2-2009.1)での参戦も経験しています。
もちろん、戦時での参加だけでなく災害派遣でも活躍をし、記憶に新しい同時多発テロの際には被災地「グラウンドゼロ」における被災者支援への参加も行われました。
また、日本ではあまり聞き慣れない「州兵」とは、予備役の一部で戦闘部隊。平時においては州知事、有事においては連邦政府がその指揮権を保有します。
全身ACUを身に纏う米陸軍側の兵士。こちらの隊員は皆インターセプター・ボディーアーマーを着用しています。どの隊員も皆、気さくにカメラ撮影に応えてくれます。
向かって一番の写真では、ハンビーの展示中に3人の米陸軍隊員を背部から撮影。いずれの隊員もCAMELBAK製のハイドレーションを背負っており、一番左と中央の隊員が同モデルの新旧バージョン違いとなっています。
左端の隊員のみ他の隊員と違い、OakleyのAssault Bootsを履いている点も興味深いところです。
左から2番目の写真では、官給のM4にM203グレネードが搭載されています。光学機器はAimpoint M2 Compとなっており、この日出合った隊員の携行する小銃火器におけるAimpoint使用率の高さが際立っていました。(ざっと見たところ、ELCANの使用は確認できるものの、メジャーなEOTechやTrijicon ACOGを搭載しているものが見当たりませんでした)
左から3番目のESS ICEを着用したこちらの隊員は、光学機器を何も搭載していないというシンプルな構成のM4A1を携行しています。州兵という事もあってか、このような素(す)の状態に近いM4を携行する隊員が多かったのも大変印象的です。
最後に右端の隊員も先程の隊員と同様にシンプルなM4を携行しています。
彼ら米兵が携行するM4を手に持たせて頂ける機会がありましたが、実際に手に持った感想としては非常に軽い。記念式典などで経験をお持ちの方だとお分かり頂けるかと思いますが、89式や64式小銃と比較するとその軽さは想像以上に軽く感じる事と思います。
この日最も多く見掛けたシンプルな状態のM4。こちらはレール、レールカバー、フォアグリップともにKnight's Armamento Co,.のものが、リアサイトは官給品のMatech社のBUISが取り付けられている事が分かります。
向かって左側の写真は、HMMWV(ハンビー)の銃座でテレスコタイプ(伸縮式)のストックが取り付けられたMINIMIを構える米陸軍の隊員が写っています。搭載されている光学機器はAimpoint Comp M4S。従来のComp M4と外観上の大きな差異としてはAAバッテリー(単三電池)を格納するスイッチ部がアイリリーフ側から見て右上だったものが右下に移動させた事により、サイティング時に視界を遮らない様に配慮された造りになったと言われています。
右側の写真も同様にMINIMIを携行する隊員。こちらのMINIMIにはAimpoint Comp M4が搭載されています。
上記いずれの隊員も左腕のベルクロには、ニューヨーク州兵を意味する「NY」をモチーフとしたパッチが貼られています。
今回投稿する多くの写真には、この隊員のように左腕に「NY」パッチが貼られています。これは、左腕に貼られるパッチが現在所属の部隊、右腕に貼るパッチが前所属の部隊等を意味するパッチを貼る規則性に則っている為となります。
そうした観点で写真中の個々の米軍隊員を見てみると、第101空挺師団や第一騎兵師団といった日本でもメディア露出の高いパッチを右腕に貼付している隊員も居り、大変興味深い考察になると思います。
市街地戦闘訓練を前に、ブリーフィング中の米軍兵。
第69歩兵連隊第1大隊はアイルランド系アメリカ人で構成されたアイルランド旅団内の連隊から統を継承。
(※現在はアイルランド系アメリカ人の兵士は多くない)
ブリーフィング中の1人の米軍兵が携行するM4に着目すると、搭載しているAimpoint Comp M2とそのマウントがTANに塗装されていることが分かります。
ブリーフィングの脇で各隊員が装備を確認している1コマ。その中で「National Guard」と書かれた見慣れないACUのバックパックが確認できます。これは「Army National Guard」で官給品として支給されているものではないかと思われます。
イラクでの実戦経験を持つこちらの隊員。戦場を共に過ごしたヘルメットを見せてくれました。ヘルメットには第1-69歩兵大隊の部隊章が縫い付けられています。
この部隊章は、1861年の帽章を継承しており、アイルランドの狼猟用猟犬二匹と、南北戦争時のポトマック軍第2軍団第1師団が使用した事に由来するレッド・クローバー、そして中央には第1次世界大戦時、第42レインボー師団隷下の連隊だったことに由来した虹が横断するデザインとなっています。
取材陣にも振舞われたカラフルなおやつ。一見するとチョコレートに見えますがグミのように柔らかく、甘味のみが強調された、いかにもアメリカらしい味わい。お世辞にも美味しくはありません。そして色粉が多量に使われている為、食べた直後は舌の表面も同様にカラフルになります。
展示されていたHMMWV。右端、3枚目の写真ではHMMWVの後方に備え付けの牽引管にスリングベルトが取り付けられています。
こちらがHMMWVの内部。2枚目(左)の写真にあるように、エンジンスターターはスイッチを右に回すだけで掛かります。エンジンが動き出すと小指の先にあるランプが点灯します。
陸上自衛隊側のブリーフィングの様子。第7普通科連隊の隊員がこれから行われる訓練内容について耳を傾けています。
各隊員が使用するゴーグルはSWAN製のもの。元々はウィンタースポーツ用に開発されたゴーグルであったが、陸上自衛隊での採用を機に、ANSIを通過。
ANSIとは「American Nationel Standards Institute」の頭文字をとった略称で、アメリカ国家規格協会が定める工業規格。
各隊員が携行する火器は、もちろん89式小銃。右側の写真では、射撃時にカートリッジが飛び散らないように工夫されています。
後述にある戦闘訓練の模様をご覧頂ければお分かり頂けるかと思いますが、一発必中を基本として射撃を行う自衛隊員に対して、ばら撒き傾向の高い米軍兵とでは、その置かれている背景や弾薬の消費に対する考え方が異なり、こうした工夫がなされているであろうとも推測できます。また、地面に散らばる事を防げる為、踏みつけた事により足を滑らす事が防げる点や、落下時の音を防げる点などといったメリットも考えられます。
隊員らの手前にある白い台の上に展示されている89式小銃に着目してみましょう。こちらはストック、グリップがOD、アウターバレルが紫色になった電動エアソフトの89式小銃。
それではお待ちかねの市街地戦闘訓練の模様。
建物の奥より1輌目の74式戦車が侵入。戦車を盾にし、スタッグを組んだ普戦チームが続きます。
訓練用装置が取り付けられた74式戦車。被弾を感知すると、M2を構える射撃手の背部にあるランプが点灯する仕掛け。
普戦チームは左横にある土手へと展開し、進行方向にある建物内部の敵と交戦を行います。
2輌目の74式戦車と普戦チームが続いて侵入します。交戦中の1輌目の戦車を追い抜き、進行します。
写真中に黄色の靄(もや)が掛かっているのは、スモークグレネードによるもの。
建物へ到着したチーム。チームはこれから建物への突入を行います。
建物内部をチーム員と共に警戒し、打ち破られた窓から素早く突入する隊員。窓の外からは仲間の隊員がバックアップを行っています。
続いて突入した隊員。射手の利き腕の如何に関わらず、状況に応じてスイッチしている様子が確認できます。
各隊員の89式小銃の先端には閉所訓練用のブランクアダプターが装着されている事が分かります。これにより発射音が軽減されています。
後に実施された米軍側の突入と比べて、自衛隊側の動きがしなやか且つ、迅速な様子は後日掲載予定の映像を見比べて頂くと一目瞭然。無駄が無く、まるで水が部屋の中に流れ込むような動きです。
2人1組で死角をカバーしながら部屋の中を進む隊員。
扉の向こう側を警戒しつつ、小部屋への突入を行う隊員。
2段目の写真では扉の向こうへ突入する事前にフラッシュパン(ダミー)のようなものを放り込む姿が確認できます。
蹴破ったドアから突入する別の隊員たち。静寂の中で緊迫した一列の隊が一気に流れ込みます。
続いて行われた米軍側の戦闘訓練。
写真赤枠内に2手に分かれて潜む米軍兵が確認できます。
笛の合図と共にスタッグで建物へと近付きます。前方の全方向へ警戒を行い、死角を作らないようしている様子がうかがえます。
スモークグレネードの投擲により、周辺の視界が悪くなっている様子が分かります。
最初のチームが建物へ到着。建物へ到着後、チームの陣形が展開していく様子が確認できます。
後続のチームが到着すると、いよいよ建物内部への突入に移ります。
先に行われた陸上自衛隊の隊員を「柔」と称するならば、米軍側の突入は「剛」。パワフルな突入模様となりました。
1人目の突入後、間髪入れず次々と後続の隊員が突入し、閉所内での数的優位を形成していきます。
カバー中の隊員における発砲も絶え間無く続き、弾幕でラインを押し上げるようなイメージ。弾薬の使用が豊富な米軍ならではといったところでしょうか。
米軍兵の一言、「一発の弾薬を惜しむ事と、命を守る事、どちらが大事だ?」・・・うーん、大変印象的です。
以上、大量の写真と長文で「日米共同訓練」の「市街地戦闘編」をお届け致しました。
今回の取材実施に当たっては、インターネットメディア、とりわけミリタリー専門ポータルという位置づけによる取材申し込みは前例が無い中で、取材許可の稟議を回して頂き、最終的に許可を頂ける事となりました。
陸上自衛隊 第3師団司令部広報室関係者様並びに、当日にプレス対応を頂きました皆様には、この場をお借りし、御礼申し上げます。ありがとうございました。
⇒陸上自衛隊 第3師団ホームページ
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