田村装備開発の大阪出張「Protection& Intelligence」取材レポート

今回の講習会では、陸上自衛隊特殊作戦群に所属していた同社訓練教育部長の長田賢治氏が講師を担当し、Protection(警護)とIntelligence(情報)の関係性をテーマに、座学と室内/街頭での実技が実施された。また、6月に行われた前回の講習会『CQC(近接格闘) & フラッシュライトを使用した護身術』では、技を体感したり体を動かすといった身体・肉体面の内容であったが、今回は警護における心構えや考え方といった心理・精神面の講義も行われた。講習科目は、「警護概論」「警護実技」「InformationとIntelligence(情報サイクル)」「都市型スカウト」の4つ。
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先ずは、警備業務の種類(第1~4号業務)についての説明から始まり、警護の三つの「S」=「セキュリティ(Security)・サービス(Service)・セーフティー(Safety)」についての講義が行われた。「警護」といえば「セキュリティ(保安/防犯)」や「セーフティー(安全/安全性)」を意識しがちであるが、警護対象者に対するケアなどの「サービス(奉仕/気遣い)」も重要な要素であり、それぞれのバランスを取りながら三つの要素を合わせて100%にすることが大切であるとのこと。他には、「警護対象者を知る」「警護する目的を知る」といった「情報」についての話や、民間警護におけるギャランティーについても講義が行われた。

セミナールームをカフェに見立てての警護訓練。想定としては・・・依頼人の警護対象者サチコは、夫トシオからDV被害を受けていた。サチコは、トシオに離婚届けのサインさせるためカフェへ呼び出した。警護員はカフェ内でサチコを警護する。・・・というもので、サチコとトシオの行動はアドリブで展開され、警護員役の受講者は事前指導がない状態で訓練に挑み、他の受講者は客役となり状況を観察した。



警護における「情報」の重要性が講義された。情報サイクルとは、①情報の要求 → ②情報の収集 → ③情報の評価/分析 → ④情報の配布、という「情報の4段階」を表し、③の段階で実行か中止の判断を行う。「情報」が無ければ「警護」が出来ない。
都市型スカウト
過去の訓練実例などを紹介しながら、下記のような項目が講義された。
・「点検・カット」 追跡者/襲撃者/不審者の索敵など。
・「訓練をする目的」 失敗やトラブル時のパニックやショックなどの心理的ダメージを軽減したり、回復力を養うためのもの。
・「状況の波紋」 進行中のひとつの状況下で、異物(不審者など)が入ると波が乱れる。その波の乱れ(違和感)に対しての「気付き」が重要。
・「空間」 危険を回避するためルーティンをコントロール。日常の空間(家/仕事場/遊び場/道)に置き換えてイメージ。

講習会場をスタート/ゴールとし、ビル周辺のワンブロックを周回する警護訓練。想定としては・・・依頼人の警護対象者:ビルオーナーは、不審者から嫌がらせの被害を受けていた。ビル内とビル周辺を巡回するビルオーナーの警護を行う。・・・といったもので、受講者は4チーム(A~D)に分かれ時間差で定時にスタートし、決められたルートを通ってゴールする。チーム毎に役割分担(オーナー役、警護員役(2~3名))を決め、事前に警護方法などを話し合う。長田氏が不審者役でルート内の何処かに潜伏し、各チームを気づかれないように近くから携帯カメラで撮影する。警護員は不審者を捜しながらオーナーを警護する。



先ほどの街頭編の流れから、エレベーターフロアでの実地検証と講義が行われた。実は、街中で不審者を発見することが出来たDチームだったが、ゴール目前のエレベーターフロアに潜伏する不審者を発見できなかったのだ。これは、Dチームのみにイレギュラーで設定された状況で、上記画像の左奥から不審者が携帯カメラで撮影していた。





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Photo & Text: 弓削島一樹
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