陸上自衛隊・西部方面隊が種子島で着上陸訓練を実施。小型偵察ボートを使った夜間訓練の公開は国内初
陸上自衛隊・西部方面隊による水陸両用作戦の着上陸訓練が、11月16日の深夜から翌17日正午に掛けて鹿児島県の種子島でおこなわれた。平成29年度自衛隊統合演習(実動演習)「29JX」は、水陸両用作戦に係る各種行動について演練し、その能力の維持・向上を図ることを目的とし、11月6日~23日に掛けて、静岡、鹿児島、大分と三県に跨って順次実施されている。
本稿でご紹介する種子島での着上陸訓練では、西部方面普通科連隊(WAiR)の主力を基幹として、 第5施設団、西部方面特科隊、西部方面通信群、西部方面航空隊、西部方面後方支援隊、西部方面衛生隊、水陸機動準備隊の各部隊から所要の部隊が参加。また、海上自衛隊からヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」 と輸送艦「くにさき」や、高機動車などの車両×約20両、LCAC(エアクッション型揚陸艇)×2艇、CH-47チヌーク×1機、8人乗りの小型偵察ボートなどが投入されている。
本稿でご紹介する種子島での着上陸訓練では、西部方面普通科連隊(WAiR)の主力を基幹として、 第5施設団、西部方面特科隊、西部方面通信群、西部方面航空隊、西部方面後方支援隊、西部方面衛生隊、水陸機動準備隊の各部隊から所要の部隊が参加。また、海上自衛隊からヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」 と輸送艦「くにさき」や、高機動車などの車両×約20両、LCAC(エアクッション型揚陸艇)×2艇、CH-47チヌーク×1機、8人乗りの小型偵察ボートなどが投入されている。
この着上陸訓練では「本隊の着上陸の援護」を目的とし、①小型偵察ボートを用いたWAiR隊員による夜間潜入、②CH-47チヌークを使った空路による中距離多目的誘導弾および120mm迫撃砲とその要員の着上陸、③LCACを使った海路からのドーザーをはじめとする作業車両並びに人員の着上陸がおこなわれている。
なお、種子島において水陸両用作戦に係る着上陸訓練を実施したのは今回が初めてであり、訓練の口火を切った夜間における小型偵察ボートを使った着上陸訓練の報道公開も、国内実施としては初めての事例となる。
加えて、今回の訓練公開は「展示」を目的とした「見世物」ではなく、真剣な訓練をおこなっているところに報道陣がお邪魔するという流れの中でおこなわれている。従って、如何にもポーズを取ったような写真や映像は無ので、雰囲気だけでも伝われば幸いだ。
午前2時、8名乗りの小型偵察ボート×2艇に分乗したWAiR隊員が、天の川が昇る南東方向から現れ、打ち寄せる波に幾度も洗われながら着岸。遥か沖合には偵察ボートの発進元となった輸送艦「くにさき」の照明が目視できた。強風の影響で訓練実施そのものが危ぶまれたが、安全管理要員の乗船するガイドボート×2艇が随伴する形で実施された。
そして午前7時過ぎ、ひゅうが からCH-47チヌークが飛来。
中距離多目的誘導弾(中多)発射装置を搭載した高機動車がCH-47チヌークから降ろされた。中多のチヌークによる空輸は珍しいのではないだろうか。
120mm迫撃砲とそれを牽引した高機動車(重迫牽引車)。重迫の操作は西部方面特科隊・第112特科大隊がおこない、機材は43連隊重迫中隊から持ち込まれているようだ。来年春の改編後は、水陸機動団の特科大隊の要員になることが見込まれる。
LCACの誘導や揚陸エリアの設定を行う海上自衛官もCH-47チヌークで上陸。彼らは「ビーチマスター」と呼ばれている。
120mm迫撃砲を組み上げる西方特科隊。
集合するWAiR隊員。左端の隊員は60mm迫撃砲(B)を携行している。一番手前で背を向けている隊員が「広多無(こうたむ)」こと「広帯域多目的無線機」の携行を確認できる。野外通信システムである広多無は、隊員が携行するタイプの他、指揮官用、車載用と3タイプで配備されている。
89式小銃のラバーガンも使用されていた。過酷な訓練のためか銃身が折れた個体も見受けられた。
上陸後にCH-47チヌーク周辺で警戒態勢をとる隊員ら。
車両後方にも警戒して前進する隊員。
火器配置ポイント周辺の警戒にあたる西部方面衛生隊(WAiR-MED)隊員。胸に付けられたコヨーテブラウンのポーチには「TQ」と書かれており、止血帯(CAT: Combat Application Tourniquet)の収納が確認できる。
沖合に浮かぶ輸送艦「くにさき」から発進したLCACが、海自ビーチマスターの誘導に従って揚陸。浜辺に緑と赤の旗を立てて、上陸地点の左右限界域を示していた。
浜辺で警戒に当たる隊員。
先発のLCACから降ろされたブルドーザーが整地を行い、次発のLCACで運ばれてくる車両の上陸に備えている。
2機のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターが上空を通過。西部方面隊広報によると、今回の着上陸訓練における参加機ではないとのことだが、突然の登場に報道陣も沸き立っていた。
深夜から始まった報道公開は午前11時ごろで終了となったが、訓練そのものはその後も続けられていた。
なお、本稿でご紹介した着上陸訓練の模様は、下記ミリブロ公式FaceBookギャラリーにて掲載中。是非こちらもご覧頂きたい。
なお、種子島において水陸両用作戦に係る着上陸訓練を実施したのは今回が初めてであり、訓練の口火を切った夜間における小型偵察ボートを使った着上陸訓練の報道公開も、国内実施としては初めての事例となる。
月明かりが無く漆黒の闇が広がっていたこの夜、初投入となる超高感度カメラを使って動画撮影をおこなったが、光源が全くない中での撮影となった為、残念ながら隊員たちの動きを鮮明に捉えることは出来ていない。
加えて、今回の訓練公開は「展示」を目的とした「見世物」ではなく、真剣な訓練をおこなっているところに報道陣がお邪魔するという流れの中でおこなわれている。従って、如何にもポーズを取ったような写真や映像は無ので、雰囲気だけでも伝われば幸いだ。
午前2時、8名乗りの小型偵察ボート×2艇に分乗したWAiR隊員が、天の川が昇る南東方向から現れ、打ち寄せる波に幾度も洗われながら着岸。遥か沖合には偵察ボートの発進元となった輸送艦「くにさき」の照明が目視できた。強風の影響で訓練実施そのものが危ぶまれたが、安全管理要員の乗船するガイドボート×2艇が随伴する形で実施された。
そして午前7時過ぎ、ひゅうが からCH-47チヌークが飛来。
中距離多目的誘導弾(中多)発射装置を搭載した高機動車がCH-47チヌークから降ろされた。中多のチヌークによる空輸は珍しいのではないだろうか。
120mm迫撃砲とそれを牽引した高機動車(重迫牽引車)。重迫の操作は西部方面特科隊・第112特科大隊がおこない、機材は43連隊重迫中隊から持ち込まれているようだ。来年春の改編後は、水陸機動団の特科大隊の要員になることが見込まれる。
LCACの誘導や揚陸エリアの設定を行う海上自衛官もCH-47チヌークで上陸。彼らは「ビーチマスター」と呼ばれている。
120mm迫撃砲を組み上げる西方特科隊。
集合するWAiR隊員。左端の隊員は60mm迫撃砲(B)を携行している。一番手前で背を向けている隊員が「広多無(こうたむ)」こと「広帯域多目的無線機」の携行を確認できる。野外通信システムである広多無は、隊員が携行するタイプの他、指揮官用、車載用と3タイプで配備されている。
89式小銃のラバーガンも使用されていた。過酷な訓練のためか銃身が折れた個体も見受けられた。
上陸後にCH-47チヌーク周辺で警戒態勢をとる隊員ら。
車両後方にも警戒して前進する隊員。
火器配置ポイント周辺の警戒にあたる西部方面衛生隊(WAiR-MED)隊員。胸に付けられたコヨーテブラウンのポーチには「TQ」と書かれており、止血帯(CAT: Combat Application Tourniquet)の収納が確認できる。
沖合に浮かぶ輸送艦「くにさき」から発進したLCACが、海自ビーチマスターの誘導に従って揚陸。浜辺に緑と赤の旗を立てて、上陸地点の左右限界域を示していた。
浜辺で警戒に当たる隊員。
先発のLCACから降ろされたブルドーザーが整地を行い、次発のLCACで運ばれてくる車両の上陸に備えている。
2機のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターが上空を通過。西部方面隊広報によると、今回の着上陸訓練における参加機ではないとのことだが、突然の登場に報道陣も沸き立っていた。
深夜から始まった報道公開は午前11時ごろで終了となったが、訓練そのものはその後も続けられていた。
なお、本稿でご紹介した着上陸訓練の模様は、下記ミリブロ公式FaceBookギャラリーにて掲載中。是非こちらもご覧頂きたい。
Text & Photo: 弓削島一樹
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