米陸軍CERDECが国防総省装備展示イベントで戦術拡張現実「TAR」を紹介
第2回目となる隔年開催の米国防総省装備展示イベント(DoD Lab Day 2017)が18日にペンタゴンでおこなわれ、最新技術の投入された100以上のディスプレイが紹介された。その中で、陸軍の通信用電子機器研究開発センター (CERDEC: Communications Electronics Research, Development and Engineering Center) が「戦術拡張現実(TAR: Tactical Augmented Reality)」と呼ばれる新技術を紹介している。
Photo Credit: U.S. Army
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ヘッドアップディスプレイの要領で利用するTARは、アイピース(接眼レンズ)にイメージが投影されるため、兵士はNVGがマウントされているのと同じく、ハンズフリーで利用できる。もちろん、夜間でさえも利用でき、着用者は眼前に広がる地形に対して、統合化されたマッピング、ナビゲーション、3Dサーフェスモデルを備えたセンサ画像によって、より多くの必要な情報を得ることができるようになる。それによって、作戦遂行時の能力改善と兵士の生存性向上を狙っている。
Photo Credit: U.S. Army
現在のところ、殆どの兵士が自身の大まかな居場所を把握するために、携帯型のGPS装置を持っているが、TARを利用することでいちいちGPSを見るために装置を取り出す必要がなくなる。
加えて、アイピースは兵士が腰につけたタブレットにワイヤレスで接続され、携行武装のライフルに取り付けられているサーマルサイトに対して無線接続を可能とする。兵士が武器を向けている時、ターゲットのイメージの他に距離などがアイピースに映し出される。また、アイピース自体は分割画面にもでき、例えばライフルが後方を向き、兵士の視線が前方を向いているならば、その両方の景色を1つの画面に映し出すことできる。もちろん、障害物に身を隠しながらもライフルだけを敵に向けて射撃する「ブラインドショット」の要領で利用も可能となる。
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開発の背景には、人口が都市部に集中して拡大する中で、そこをターゲットにしたテロの脅威が高まっており、複雑な環境下で展開する軍事作戦に向けた改善策の一環としての利用が見込まれている。そして陸軍は最終的には、個々の兵士が見ている風景をチームで共有することで、戦術面でのアドバンテージに活かしたいと考えている。
Photo from U.S. DoD
陸軍が、未来の戦場で戦況を一変させる「ゲームチェンジャー」として位置付けているこの新装備だが、実用化に向けた目下の課題は、アイピースに取り付ける画像を1インチ(=約2.5センチメートル)四方に小型化することが挙げられている。
現行の民生技術では、画像を圧縮してタブレットや携帯電話サイズのウィンドウに収まるよう小型化ができるものの、極めて小さなアイピースに対して目視に耐える高精度な画像を得ることは、市販ハードウェアを使っては実現できない障壁となっていた。
Photo Credit: U.S. Army
2008年頃から取り組んできたこの小型化については技術革新の末に、2010年頃までに白黒の画像表示だけでなく、緑のモノクロームでも表示できるようになっており、現在は視界の明るい日中でも視認できるフルカラー表示に向けて鋭意開発に取り組んでいるという。
Tactical Augmented Reality
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