急速に進化している運用環境を背景に、各国軍隊のリプレイス案件で活況付くアサルトライフルマーケット
英国の国際軍事情報企業IHSジェーンズが「リーサリティー(致死性)の強化:アサルトライフルの技術開発」と題したレポートを掲載した。
Photo from USASOC
ジェーンズによると、国際的なアサルトライフルのマーケットは、急速に進化している現在の運用環境(COE: Contemporary Operational Environment)の中、各国の軍隊がアップグレード又は、より適切なオプションと共に長年使ってきたウェポンシステムのリプレイスを求めていることを背景として、益々アクティブになっていることが示されている。
ダーイシュ討伐を掲げた連合軍による対テロ作戦においては、特殊部隊にしろ歩兵部隊にせよ、前線を超えてより離れたターゲットへの交戦を可能とする個人武器システムが希求されている。しかし一方で、こうした対テロ作戦は、市街地などの入り組んだ場所で行われることが多いため、限られたスペースの中で運用できなければならいことも併せて要求されている。
報告の中では、こうした動きを踏まえて、欧米各国の軍隊ならびにそれらへ製品供給をおこなうメーカー各社の開発とそのコンペ事情が紹介されている。これら実例は、ここミリブロNewsでも紹介してきた、下記の各案件となっている。
各事例共に、計画の発端から目的、要求される仕様とそれに対応する開発、関連した諸問題が紹介されおり、最新のアサルトライフル開発事情を知る上で、価値ある資料となりそうだ。
Source: Enhancing lethality: assault rifle technology developments - IHS Janes
このような、一見相反する要件を1つにまとめて実現させることは、極めて難しい案件となるものの、不可能ではないと見なされている。そこで、これら要求を実現するために、武器産業界は運用環境の「パラメーター」によってモジュール化し、アップまたはダウングレードできるよう拡張性を持たせたソリューションを持ち込むことで、その打開策を見出す動きにあることが示されている。
Photo: ©Bundeswehr/Marco Dorow
報告の中では、こうした動きを踏まえて、欧米各国の軍隊ならびにそれらへ製品供給をおこなうメーカー各社の開発とそのコンペ事情が紹介されている。これら実例は、ここミリブロNewsでも紹介してきた、下記の各案件となっている。
①フランス軍制式採用小銃FAMASのリプレイスを掲げたAIF(Arme Individuelle Future)計画と、そのコンペに勝利したHK416Fの事例
⇒フランス軍の次期制式小銃は HK416F-C、HK416F-S。HK269F 擲弾発射器の納入も
②ドイツ陸軍特殊部隊KSK(Kommando Spezialkräfte)と海軍特殊部隊KSM(Kommando Spezialkräfte Marine)で利用されているG36のリプレイス案件
⇒ドイツ BAAINBw が軍特殊部隊用に G36 に替わる新たなアサルトライフル取得を求めた入札要項を提示
③米軍特殊作戦司令部主導によるサプレッサー一体型アッパーレシーバー(SURG: Suppressed Upper Receiver Group)M4の一件
⇒アメリカ軍SOCOMがサイレンサー一体型アッパーレシーバーM4計画「SURG」を再開
④米海兵隊の全小銃手にM27歩兵自動小銃(IAR: Infantry Automatic Rifle)を配備する件
⇒米海兵隊が歩兵用自動小銃IAR1万1千丁購入の情報提供依頼書を発行
⑤ドイツ軍のG36後継制式小銃選定をにらんだHK433発表の一件
⇒ヘッケラーアンドコッホ社がドイツ連邦軍の次期制式小銃選定に向けた新型小銃「HK433」を発表
⑥ポストG36でH&K社の強力なライバルになることが予想されているステアー&ラインメタル社の共同提案「RS556」
⇒ステアー社とラインメタル社 ドイツ軍にG36自動小銃の後継「RS556」を提案
各事例共に、計画の発端から目的、要求される仕様とそれに対応する開発、関連した諸問題が紹介されおり、最新のアサルトライフル開発事情を知る上で、価値ある資料となりそうだ。
Source: Enhancing lethality: assault rifle technology developments - IHS Janes
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